「文学」レポートで学ぶ、文学系科目における本論の展開

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小説を科学的に読むポイント

文学系科目に取り組む場合、「文学作品」と「文学」の違いを理解することが重要です。そうでなければ、レポートが読書感想文になってしまうからです。

 

「文学」はその名の通り、「科学」であり、「学問」の一体形です。レポートで扱う文学作品は単なる小説ではなく、科学的なテーマが混在して、1つの物語を作っていると考えてください。

 

したがって、文学系科目のレポートを書く際、科学的な考察が必須となります。「政治」や「歴史」などの科学的視点から小説を眺めることで、文学作品は科学である文学に昇華するのです。

 

例えば、

 

登場人物の変化

 

舞台と歴史的背景

 

著者の政治的主張と作中人物の運命の操作

 

このような視点を持てば、たとえ恋愛小説であっても、恋愛に偏った見方をすることはなくなります。著者は恋愛模様を描くことを通じて、本当は何を言いたいか考えることができるのです。

 

その際、政治や歴史の知識が活きます。多くの場合、著者は社会の縮図として作品を構成するので、作中人物の変化は社会変化の象徴として描かれるからです。

 

例えば、作中人物が不倫で悩むとします。恋愛という側面から見れば悪徳ですが、科学という視点があれば政治経済の象徴であり、体制への批判を読み取ることができるのです。

 

このように、文学作品を考察するには、作中の時代の史実について把握する必要があります。今回取り上げる『獲物の分け前』では、以下の知識が求められます。

 

フランス革命

 

ナポレオン3世の第二帝政

 

パリ区画工事

文学レポートのアウトラインの作り方

それでは、実際にアウトラインを作る過程をお見せします。アウトラインの重要性は、こちらのページをご覧ください。

 

著作権の関係上、レポート課題は掲載できませんが、パリを舞台にした小説『獲物の分け前』を選択し、「パリの一大変革が登場人物や社会に与えた影響について」というテーマを設定しました。

 

『獲物の分け前』では、パリの変革期の人間模様が描かれ、そこに住む人間への影響にスポットライトが当てられています。

 

そこで、上記のようにレポートのテーマを設定し、具体的な問いを立てます。問いは、「パリが作中人物に与えた影響はどのようなものか」などの端的な疑問文が良いでしょう。

 

次に、この問いに対してどのようにアプローチするかを考えます。今回はレポート課題も参考にして、次のように展開していくこととしました。

 

この時代のパリで何が起こっていたか述べる

 

パリが人物や社会に与えた影響を述べる

 

上記は著者のどのような主張を示すか考察する

 

最後に、これらのアプローチを節に落とし込みます。これにより、次のようにアウトラインが決まります。

 

第1節:変貌するパリ

 

第2節:人物像の中に見るパリ

 

第3節:家庭観の中にあるパリ

 

第4節:著者のパリに対する視点

「引用→考察」という独特な本論

文学系レポートの本論は、毎回同じパターンで進めることができます。

 

小説から描写を引用し、考察を加えるという順序です。このセットを3つほど置いて、1つの節とします。

 

これについて、実際のレポートを挙げて説明します。

 

第1節:変貌するパリ

 

(描写を引用)

 

区画整理が始まる10年ほど前から、サッカールの兄であるウージェーヌは、街中に漂う帝政の目覚めと、それに乗じた不正利益による財産の可能性を感じていた。パリはまさに奪い合いのテーブルであり、安らぎでの場所ではなく、常に戦いの舞台として描かれている。フランス国民が長い間求め続けた自由主義政府の実現、パリを中心に高まり続けた革命の気運はここにきて完全に消えてしまったように思われる。第二帝政の実現は、国民が抱えるナポレオン時代への夢想であり、帝国のシンボルである豪華なパリへの支持へと向かったと言える。以降パリは政治画策化に支配され、新事業、売春に興じる。清算しきれない借金を背負う者も増え、欲望渦巻く街へ移り行く様子が描かれている。

 

第4節:著者のパリに対する視点

 

(描写を引用)

 

著者は、当時のパリの家庭観、性、道徳といった諸問題を絶えず提起している。金と女に興じた街について多彩な比喩で風刺し、第二帝政という体制そのものを痛烈に批判している。サン=ルイ島の「ルネの子供部屋」と「パリの社交界」の対比も多く見られ、実際にこれほど両極端な生活環境はない。「元来のルネ」に代表された思慮深く論理的思考のブルジョワ性質は、この子供部屋の中で永遠の後悔を抱いて最期を迎える。ナポレオン3世の帝政がどれほど人々を熱狂させ、同時に自由主義者を苦しめたか、そしてパリはこれから先どこへ向かって進めば良いかなど、著者は人間のあるべき姿について懐疑を投げかけているように思われる。

 

このように「引用→考察」のセットを積み重ね、結論を引き出します。こうした進行を覚え、レポートに取り入れてください。考察の際には、「歴史」、「資本主義」、「遺伝」などの科学的要素を盛り込むことも重要です。

 

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