「教育学」レポートで学ぶ、テキスト批評の仕方

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教育学系科目が難しい理由

慶應通信の教育学系科目は、難易度が高いことで有名です。テキスト内容が難解なので、何度も何度も読み、不明点を1つ1つ紐解く必要があります。

 

著作権の関係上、レポート課題は掲載できませんが、内容としては「人間観についての批評」となります。今回の場合、この科目が難しい理由は、次の3点に集約できます。

 

「善くする」の概念の理解

 

「善くする」に最適な具体例

 

具体例の批評

善くするの理解

「教育学」には、「善」という概念が登場します。これは、「今より良い人になる」というイメージで構いません。そのため、「教育学」とは、教育によって、この善を追い求める学問だと認識してください。

 

当然、レポートではより具体的に「善」について述べる必要がありますが、このように抽象的な概念なので、著者によって解釈が異なります。ただ、人が高度な水準に達するという点では共通しています。

 

例えば、学歴至上主義を掲げる人にとっては、東大に行くことが善であり、その過程で詰め込み教育を強要したとしても、その行為は教育的であると言えます。反対に、個性を重んじる人にとっては、詰め込み教育よりも想像的要素の多い遊びをさせることが善になるわけです。

 

そこで、当レポートでは、何を善とするかを定義する必要があります。私の場合、デューイの『学校と社会』を参考文献としたので、彼の教育善について、私のレポートを紹介します。

デューイの教育観

「興味をたんにあおったり、あるいはほしいままにすることと、その興味を指導することのあいだには違いがあるのであって、この差異こそわたしの強調したいことにほかならない。」(『学校と社会』P102より引用)とあるように、子どもの願望を分析せず、好きなだけ取り組ませるという野放し状態は教育的ではなく、子どもの興味が活かされる方向性を持つ教育について分析する必要がある。

 

このように、文献から引用した後、著者が善についてどのように考えているかを補足します。

 

次に、具体的にどのような知識が善と言えるかに迫ります。この点も文献から適切な箇所を引用します。

 

「自然にじかに触れることから得られて、しっくりと身についた知識、さらにそれら事物の社会的な必要性や用途についての知識を持つことが、教育の目的として重要な意義を持つのである」(『学校と社会』より引用)とあるように、知識は経験から得られたものだからこそ価値がある。経験から得た知識はその活用に際して、そうでない知識と質的な違いがある。実際に、産業革命以前の「家庭」という経済単位の中では、子どもたちがじかに経済生活の場に立つことができ、次の様な過程で知識を得ていた。

 

このように、知識を育むことができる教育こそ善なので、具体的にどのような教育が該当するかを補足します。このとき、次のように具体例を挙げると分かりやすくなります。

 

例えば、調理の時間に材料を計算させると、彼らは思いもよらず「分数の計算」の必要性を感じることができる。このような親近感や存在感が示唆された知識こそ、教育的に意義がある。

テキスト批評

このようにしてデューイの思想を理解した後、批評します。批評は単なる批判と違い、著者の主張に対して、自分の意見を補足します。

 

このとき、「本当にそうなのだろうか?」という気持ちで、文献にあたることが大切です。「テキストや文献の内容はすべて正しい」と思い込んでいる人には、その理由について分析することもないので、批評はできません。

 

それでは、実際のレポートを見ていきましょう。

 

私の教育上の問題意識は「どのようにして子どもが学習に目的性を見出すか」である。本節では、デューイの思想と関連させて、この問題に答える。まずは、私がこの問いを立てた経緯から述べたいと思う。

 

〜中略〜

 

@そこで、どのような指導が求められるかと言うと、子どもに課題に対する興味を持たせることである。そのために、子どもの好奇心を利用することが望ましい。

 

〜中略〜

 

A例えば、「0×0」が分からない生徒がいたとする。まず教師は、彼がかけ算の概念についてどこまで理解しているかを把握し、かけ算の基礎となる概念を与える。次に、その概念から「0を0回足すと…」などと答えを推量させ、解答を引き出す。そして、最後の段階として、教師はこの計算がどのように生徒の生活に結びついているかを示す。

 

Bデューイは教育環境の変化により、勉強と生活が切り離されていると述べたが、いかにして両者の連関を生徒に理解させるかが教育上の問題であると言える。知識を与える際、それがどのようにして得られ、その後どのような場面で扱われていたかという歴史的側面を添えて提示すべきと考えられる。

 

このように、@で著者の立場を認め、Aで具体例を挙げた後、Bでテキスト批評を行います。デューイの意見をベースに、現実に即した方法を提示していることが分かります。

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