このページでは、レポートが本来的に有する性質について講義を進めていきます。
レポートが本来的に持っている性質として、
〇レポートは客観性を持った文章である
〇レポートは公共性を持った文章である
この2点があげられます。まずは公共性から説明していきます。
レポートを提出するということは、公に発表するのと同じ
レポートを提出するということは、学会に対して持論を発表することを意味します。レポートを書く者は、少なくともこのような心構えでいないといけません。論文のルールを守ることは必須であり、「序論・本論・結論」や「問い‐解答」も厳守します。
これに今日は、次の1点を加えたいと思います。
客観性
レポートでは内容が正しいのはもちろんのこと、反論の余地なく吟味された言い回しが重要になります。そこで、客観性を保った文章の作り方について説明していきます。
まずは、レポート独自の言い回しを教えます。
レポートでは決して「〜と思う」や「〜と考える」とは書きません。それは一個人の感想と見なされるので、客観性を求められるレポートでは不適切な表現だからです。
「〜と思われる」「〜と考えられる」と書く
このように語尾をまとめることで、一個人の感想を超えた内容だとみなされます。形式上は非常にささいなことですが、たったこれだけで客観性を保つことができるので、誰でも簡単に取り入れることができます。
次に、内容に関する客観性について説明します。これにも非常にシンプルなルールがあります。
根拠となる文を参考文献から引用する
引用にどのような効果があるかと言うと、「あなたの書いた文章が批判に耐えうる文章になる」という効果があります。正しい引用は、あなたの文章に「説得力」をコーティングしてくれるのです。
その理由を説明すると、読み手があなたの文章を否定するためには、引用元を否定しなければなりません。ただ先行研究は、基本的に正しいとされています。そのため引用さえしておけば、あなたの主張は誰にも否定されなくなるというわけです。
このようなわけで、レポート内で主張を述べる際は、その根拠を参考文献から引用することは必須です。引用の書き方としては、以下のようなものがあります。
〇「『(文献名)』によれば、〜とある。したがって、…と思われる」
〇「〜とある。(『文献名・ページ数』より)したがって、…と思われる」
ここで記載した文献名は、文献表にも再度記載する必要があるので、注意してください。
またレポート課題によっては、自分なりの視点や意見が求められることがあります。これが「考察」です。最後に、「考察の加え方」について説明していきます。
考察
考察はレポートのなかで一番難しいスキルなので、完全にマスターするには最低でも1年はかかります。そのため、考察まできちんと理解できれば、かなりの力がついたと言えるでしょう。
「考察」については、次のように考えると良いです。
〇事実から何が言えるか
〇事実から何が予想できるか
〇その事実は何を反映したものか
これらの中から分かりやすい解釈を選んで、実際の考察に挑戦してください。次の課題を見てください。
「自分自身の個性がどのように形成されたかを、自分の生活史をふりかえって考察しなさい。」
この課題に先の考察の解釈をあてはめると、「事実(自分史)を述べ、そこから言えることは何か」となります。このとき、「何も浮かんでこない」という方は、自分なりの視点を持つと良いです。
例えば、「環境と個性の相互関係」という視点を持ちます。それによって、「自分の個性は、環境からどのような影響を受けたか」について考える事ができます。そこで、次のような考察ができあがります。
「私は少人数で行動することが多かった。そして、少人数で行動することに対して、自分と同じ意義を感じる友人を見つけ、その考えをさらに深めた。私自身の個性形成の大きな影響は、学級という社会から受けたと感じられる。」
1文目は事実について述べています。「自分史」という事実です。
2文目はこの事実に対して、「そこから何が言えるか」を分析しています。これが考察であり、最終的には「事実から予想する」という形にまとめています。このとき完全な主観にならないように、「〜と感じられる」の形で結んでいます。
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