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実験モデルは自分で考えることではない
慶應通信の卒論には、実験データが不可欠です。
私の場合、教育心理学の動機づけ理論について研究しました。そのため、「動機づけ理論」、「子どもの認知構造」、「学習の認知過程」について一通り述べた後で、内発的動機づけに適した学習方法について仮説を立てます。
ただ、仮説そのものが完全オリジナルなので、本当に内発的動機づけに効果があるのか証明するには、実験するしかありません。
次に、具体的にどういった実験モデルにするかが問題になってきます。
ここで気をつけることは、実験モデルは自分で考えることではない、という事です。勝手に自分で進めて、全部やり直しなんてことも考えられます。
自分が行う事は、今の自分の環境でどのような実験ができるかを明確にすることです。その上で、実験モデルを教授に組み立ててもらい、後は言われた通り行動すれば良いのです。
私も教授からたくさんの指示を頂き、実験を進めていきました。こうして完成した実験の章は、次のような構成になっています。
第1節:目的
第2節:被験者
第3節:測定用具
第4節:手続き
第5節:処理方法
第6節:結果
第7節:考察
サンプル数が少なくてもデータが取れる多層ベースライン
このうち第4節の「手続き」が、実験方法の導入についての内容となっています。
実験データの肝はサンプル数ですが、私の場合それが6人しかいませんでした。当初はこの点が最大のネックでしたが、6人しかいなくても信頼に足るデータを取る方法を教えて頂き、この問題を解決しました。
それが、多層ベースラインです。
多層ベースラインでは、すべての生徒さんに対して、通常授業と内育授業(内発的動機づけを高める特別授業)を数回ずつ行います。通常授業(5回程度)→内育授業(5回程度)→通常授業(3回程度)の順で行います。
授業後に専用のアンケートを行い、内発的動機づけを得点化します。
この授業1回を1セッションとし、セッションのまとまりをフェイズとします。得点が安定したら、フェイズを移行し、得点の推移を見ていきます。
最終的に、「最初の通常フェイズで平均得点(ベースライン)を出しておき、介入フェイズでベースラインより得点が上がり、通常フェイズに戻したときにベースラインに戻る」という結果が出れば、内育授業が内発的動機づけに効果があると結論づけられる、という考え方です。
以下がそのときのデータの1つです。
データに対して考察を加える方法
無事に実験を行う事ができても安心できません。むしろ、実験後が困難の連続です。
膨大な実験結果をまとめ、1つ1つに考察を加えなければならないからです。
そもそも実験結果というものは、基本的に思い通りのものは得られません。ただ、それでもすべてを結論に結び付けるべく、有効に考察を加えます。
実際のところ、まとめ方さえ工夫すれば、1つのデータから多くの考察を加えることができます。
私の場合、「内育授業ごと」、「生徒ごと」、「内発的動機づけの下位尺度ごと」に結果をまとめました。これらを図や表に表すことで、さまざまな分析が可能になります。
例えば、先のデータに対して、次のように考察を加えることができます。
「表4より「内発的-外発的動機づけ尺度」は介入フェイズで4人の参加児が得点を上げた。「裏話挿入」と「成りきり授業」である。まず「裏話挿入」については、この介入を受けた全ての参加児が「内発的-外発的動機づけ尺度」の得点を挙げており、図4より彼らの介入フェイズでの特徴は共通してほぼ一定の得点水準を維持している事である。この様な結果を受けて、「裏話挿入」は「内発的-外発的動機づけ尺度」の得点を上げる傾向があると言える。
表4より「成りきり授業」については介入フェイズで得点は上がっている。同時に通常フェイズとの差があまりない事も認められるが、図4より通常フェイズで下降していた得点が介入フェイズに入って最も高い得点まで上がったという得点の推移を受けて、「成りきり授業」は「内発的-外発的動機づけ尺度」の得点を上げる傾向があると言える。
また「教科書作り」は表4より介入フェイズで得点を下げている。図4より介入フェイズで得点が下降傾向にある事や通常フェイズの最高得点を記録できなかったことを受けて、「教科書作り」は「内発的-外発的動機づけ尺度」の得点を下げる傾向があると言える。」
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