サスペンスドラマ

データの取り方

データを取るまでが大変

私が卒論を実際に書いていたのは、提出直前の9月〜11月の3ヶ月ほどでした。

 

ただ、本格的に勉強を始めたのは、遡って5月頃です。5月から勉強を始め、9月から書き始めるというのはどういうことかというと、それだけ下準備に時間がかかるという事です。

 

一番時間がかかるのは、データ収集です。

実験モデルは自分で考えることではない

慶應通信の卒論には、実験データが不可欠です。

 

私は、教育心理学の動機づけ理論について卒論を書きました。

 

「動機づけ理論」、「子どもの認知構造」、「学習の認知過程」について一通り述べた後で、内発的動機づけに適した学習方法について仮説を立てます。

 

仮説そのものがは完全オリジナルなので、本当に内発的動機づけに効果があるのか証明するには、実験をするしかありません。そこで、自分の家庭教師先の生徒さんに対して色々な形式の授業を行う事は、最初から決まっていました。

 

次に、具体的にどういった実験モデルにするかが問題になってきます。

 

ただ、気をつけることは、実験モデルは自分で考えることではない、という事です。自分で勝手に進めたら、全部やり直しなんてことも考えられます。
自分が行う事は、どのような実験であれば今の自分の環境でできそうかをはっきりさせることです。その上で、実験モデルを教授に組み立ててもらい、後は言われた通り行動すれば良いのです。

 

私も教授からたくさんの指示を頂き、実験を進めていきました。こうして出来上がった実験の章は、次のような構成になっています。

 

第1節:目的

 

第2節:被験者

 

第3節:測定用具

 

第4節:手続き

 

第5節:処理方法

 

第6節:結果

 

第7節:考察

サンプル数が少なくてもデータが取れる多層ベースライン

このうち第4節の「手続き」が、実験方法の導入についての内容となっています。

 

実験データはサンプル数が肝ですが、私の実験に協力してくれた生徒さんはたったの6人でした。当初はこの点が最大のネックでしたが、6人しかいなくてもある程度信頼できるデータを取る方法があります。

 

それが、多層ベースラインです。

 

方法としては、すべての生徒さんに対して、通常授業と内育授業(内発的動機づけを高める特別授業)を数回ずつ行います。通常授業(5回程度)→内育授業(5回程度)→通常授業(3回程度)の順で行います。授業1回を1セッションとし、セッションのまとまりをフェイズとします。

 

授業後必ず専用のアンケートを行い、内発的動機づけを得点化します。得点が安定してきたら、フェイズを移行し、得点の推移を見ていきます。

 

最終的に、「最初の通常フェイズで平均得点(ベースライン)を出しておき、介入フェイズでベースラインより得点が上がり、通常フェイズに戻したときにベースラインに戻る」という結果が出れば、内育授業が内発的動機づけに効果があると結論づけられる、という考え方です。

 

以下が私が取ったデータの1つなので、参考にして下さい。

 

 

 

 

 

 

データに対して考察を加える方法

無事に実験を行い事ができても安心できません。むしろ、実験後が困難の連続です。

 

膨大な実験結果をまとめ、1つ1つに考察を加えなければならないからです。

 

そもそも実験結果というものは、基本的に思いどおりにはいきません。ただ、それでもすべてを結論に結び付けるべく、有効に考察を加えます。

 

実際のところ、まとめ方さえ工夫すれば、1つのデータから多くの考察を加えることができます。私の場合、「内育授業ごと」、「生徒ごと」、「内発的動機づけの下位尺度ごと」に結果をまとめました。これらを図や表に表すことで、さまざまな分析が可能になります。

 

例えば、先と次のデータに対して、次のように考察を加えることができます。

 

 

「表4より「内発的-外発的動機づけ尺度」は介入フェイズで4人の参加児が得点を上げた。「裏話挿入」と「成りきり授業」である。まず「裏話挿入」については、この介入を受けた全ての参加児が「内発的-外発的動機づけ尺度」の得点を挙げており、図4より彼らの介入フェイズでの特徴は共通してほぼ一定の得点水準を維持している事である。この様な結果を受けて、「裏話挿入」は「内発的-外発的動機づけ尺度」の得点を上げる傾向があると言える。
表4より「成りきり授業」については介入フェイズで得点は上がっている。同時に通常フェイズとの差があまりない事も認められるが、図4より通常フェイズで下降していた得点が介入フェイズに入って最も高い得点まで上がったという得点の推移を受けて、「成りきり授業」は「内発的-外発的動機づけ尺度」の得点を上げる傾向があると言える。
また「教科書作り」は表4より介入フェイズで得点を下げている。図4より介入フェイズで得点が下降傾向にある事や通常フェイズの最高得点を記録できなかったことを受けて、「教科書作り」は「内発的-外発的動機づけ尺度」の得点を下げる傾向があると言える。」

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