サスペンスドラマ

政治学 なぜ社会主義は自滅するか

唯物論と資本主義

経済の仕組みは大きく、資本主義、社会主義に分けられます。資本主義は資本家(お金持ち)が労働者を雇って生産を行うのに対して、社会主義はすべての労力は国有になります。また、生産過程、生産成果すべてが等しく分配されることによって、階級のない世の中を構想するのが共産主義です。

 

経済の仕組みは有史以来、奴隷制→封建制→資本主義→社会主義、そして資本主義と変化しています。ここから分かる通り、社会主義は失敗し、再び資本主義に戻っています。実際に20世紀頃多くの社会主義国が誕生しましたが、現在ではことごとく崩壊しています。

 

今回は、なぜ社会主義はうまくいかないのかについて、人間の内面性「唯物論」という観点から説明したいと思います。

 

唯物論を簡単に説明すると、人間の感情と物質の2つの要素があったとき、物質が感情に影響を与えるという立場です。

 

人はモノを欲します。それは私欲と呼ばれ、有限のモノに対して際限なく膨れ上がっていくという特徴があります。つまりまずモノがあり、心や観念といった人間の内面は、それに付随して変化していくのです。

 

これは一見、「私欲を排す」という目的を持つ宗教と表面的には矛盾しますが、実際には宗教こそ典型的な唯物論です。

 

宗教には悟りによって私欲をなくす「解脱」を目標とするという基本的な構図があり、解脱こそ様々な苦しみから逃れる唯一の方法だと信じ込ませます。

 

しかしながら、指導者自身が解脱者である証拠はありません。実際にお布施によって私欲を肥やしている点を考えると、むしろ私欲の塊と言う事もできます。

 

このょうに現代社会には唯物論が蔓延しており、宗教でさえも例外でないため、資本主義を推進させ続けているのです。

資本主義の欠陥

この話から分かることとして、プロセスはどうであれ、資本主義と同一のベクトル、つまり上から下へ搾取するというメカニズムを持った手法であれば、資本主義社会では通用します。反対に、改革によってその社会の大枠から外れた手法を用いようとする場合は、並大抵のことではすぐに押し返され、もとの状態に引き込まれてしまいます。

 

さて、唯物論とは「モノ」があり、それが人間の観念に影響を与えるという思考でした。この場合の「モノ」とは、お金で買えるものすべてを指すため、これを生み出す手段として奴隷が生まれ、労働者階級が生まれました。

 

労働の対価として得られるモノは、階級の上の人から下の人に向かって、段階的に搾取されます。さらに階級そのものが、どれだけモノを所有しているかによって決まるかを考慮すると、お金持ちはよりお金持ちに、そうでないものは搾取され続ける以外の道はありません。実際に、お金持ちが自らの立場を顧みず、富を配分しようなどと考えないことは自明です。

 

このような私利私欲に満ちた思考をブルジョワ思想と呼ぶのですが、人間社会は放っておけば資本主義社会を一直線に突き進むのは、いたって自然な流れであることも理解できます。このように生産過程も成果もブルジョワの私欲で一致していますので、資本主義は大量生産大量消費待ったなしの状態になります。

 

ところで、社会主義を推し進めたマルクスやレーニンには、資本主義が内包する根本的な欠陥が見えていました。それは階級によってモノを分配する方法によって生じる問題であり、大量生産大量消費によって、一方ではモノがあまっているが、他方では得られない人がいるという不合理な事態です。

社会主義は成功しない理由

共産主義はこの問題を排除すべく生まれました。これまでのブルジョワ支配からプロレタリアート支配へ転換することによって、階級を排し、労働力とその結果得られる富を国有化し、それをすべての人へ平等に分配するといった考え方を打ち出したのです。

 

そして資本主義から共産主義へ、その過渡期として現れるのが社会主義です。つまり、社会主義では生産によって生まれたモノを公共のものと考えますが、階級自体は完全に消えたわけではありません。そのため、社会主義の段階ではブルジョワ思想の一部の人間は私欲を持ち、それでいて生産に携わる大多数の人間は公欲を持っていることになります。

 

このように生産過程と成果のベクトルが別を向いているため、社会主義は共産主義へ向かうより強く、資本主義の方へ遠心力が働いてしまうことが分かります。

 

ところが、マルクスやレーニンが生きた時代は、共産主義を理想として掲げた時代であり、どこの国もこれを実践していなかったため、共産主義を仮に達成したとして、その後どうなるか想像することができませんでした。その結果、上述の矛盾が立証されたのは、ソ連をはじめとした社会主義国が次々と倒れていった20世紀後半を待たねばなりませんでした。

 

例えば、中国では毛沢東が共産党を打ち立て、共産主義を全力で推し進めましたが、彼の死後わずか1ヶ月で共産主義は転覆されます。とは言え、今でも中国は表向きは共産主義国をうたっており、共産党の一党支配が続いています。ただ、実質的には貧富の差の激しい資本主義国であることは間違いありません。

 

モノ(金)は常に存在し、またそれを分配する階級も存在します。その中で、すべての人特にブルジョワ階級が私欲を捨て、公欲に生きられるかどうか、つまるところ社会主義が共産主義へ変革できるかどうかは、この点にかかっていると言えます。

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